移住経験者インタビュー
移住サポーター 佐藤亜紀さん
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大熊町移住者 池田未帆さん

わくわくがわいてきた

「前職はパティシエです。」
横浜と仙台でパティシエとしてキャリアを積んできた未帆さん。現在は起業支援拠点である大熊インキュベーションセンターでフロアスタッフを務めています。大熊インキュベーションセンターで未帆さんに会えると、未帆さんの持つふんわりとした穏やかな空気感に癒されています。(癒されているのは私だけではないはず!)そんな未帆さんに、私個人としてもずっと気になっていた大熊町への移住の経緯を伺いました。

「大熊町に来る前は仙台に住んでおり、地元である秋田県に帰ろうと悩んでいた時期でした。」
そのころ未帆さんの友人が大熊町に移住し、『大熊いいよ!』と勧めてくれたそう。
「私にとって大熊町はニュースで聞いたことがあるくらいで、行ったこともない町でした。
昨年初めて大熊町に来たときに
『この町はこれから復興するのか』と衝撃を受け、そのことを知らなかったことを恥ずかしく感じました。そして、それと同時に「ここで何ができるだろう」とわくわくがわいてきたことを覚えています。」

この地域は原子力災害を経験した、いまだ帰還困難区域が残る特殊な地域。ここは「特殊な場所」だということ、だけどだからこそ「チャレンジできる場所」だという認識の両方を持ってくれた未帆さんの感覚にとても共感しました。

帰還困難区域を目の前にしたとき移住への決意が生まれた

何かを選択するときにいつもわくわくを優先させてきたという未帆さん。移住までの行動と決断の早さに驚きました。
「思い立ったが吉日、大熊町のことをもっと知りたい気持ちで移住サポーターツアーに申し込みました。大熊町は特殊な歴史を持っている町。どんな人が住んでいて、どんな生活をしているのかを知りたかった。」

移住ツアーではネクサスファームおおくまでの作業体験や近隣の町を見て回ったそう。未帆さんにとってこういったツアーに参加すること自体が初めての経験。
「ツアーはすごく良くて、観光地を巡るよりも知識欲を刺激される内容だった。これは浜通り地域の魅力だと思います。」

未帆さんが移住を決めたのはこのツアーの最中だったそうです。
「移住サポーターが帰還困難区域のバリケードの前で『自分の自宅はこの中にある』と案内してくれました。自分の家に入れないってどんな気持ちなんだろう。その話を聞いているときに『大熊町でなにかやってみたいな』から『大熊町でなにかやろう』というふうに心が動きました。決意に変わった瞬間でした。」

あっという間に広がった

移住サポーターツアーに参加した後、少しずつ大熊町での活動をはじめた未帆さん。
「大熊町交流ゾーンのlinkる大熊にあるチャレンジショップのお手伝いをしていたとき、『家と仕事探してます』と張り紙をしたところたくさんの方から様々なお仕事の話をもらいました。お手伝い中にたくさんの方に存在を知ってもらえ、あっという間に輪が広がりました。ツアーに参加したことが移住への入り口をぐっと広げてくれたように思います。」
活動していくなかで知り合う人々はツアーの交流会で一度会ったことのある方も多かったそうですが、未帆さんの人柄でしょうか、一気に20代の大熊町の女性たちが仲良くなっていっていた印象です。

パティシエである未帆さんが様々な仕事があるなかで選んだのが『大熊インキュベーションセンター』でした。どうしてパティシエの未帆さんがインキュベーションセンターで働いているのだろう?とずっと疑問だったので思い切って聞いてみました。
「この場所にはチャレンジしたい人が集まっていて、自分の成長になるような学びを得られると思ったからです。パティシエとして、「どうやったらお菓子に繋げられるか」という視点を持って今の仕事にも取り組んでいます。」

大熊町のおかげで元気になった

未帆さんも参加している大熊町で暮らす女性たちのコミュニティ『熊女(くまじょ)』。まだまだ女性の人口が多くはない双葉郡内で、熊女の存在はとても頼もしく感じています。それぞれが生活の中やSNS等で『双葉郡楽しい!』を発信していて、地域に活気を与えてくれています。

「熊女のみんなはそれぞれ様々な活動をしており、刺激を受け合って、元気になれる、励みになる、いいコミュニティです。みんなでよく集まってご飯を食べたりしています。悩んでいた時期もありましたが、大熊町に来てから元気になりました。」
大熊町での生活について話をする未帆さんから、わくわくしながらここでの暮らしを満喫していることが伝わってきました。
「私が暮らすシェアハウスはみんなが集う場所になっています。仕事仲間とゆっくり話をする場所であり、生活する家でもある。いろんな人が活用し、何をやりたいか話合ったりしています。都会と比べれば交通の便など不便な部分はあるかもしれませんが、それ自体をみんなで楽しめているので生活が辛いとか嫌になったりはないです。」



■大熊町へ移住を検討しているみなさんへ
「大熊町はあたたかく迎え入れてくれる、そんな町です。このコミュニティをずっと大事に守っていきたいと思っています。
自分の興味関心やわくわくを大切に、まずは一歩踏み出してみてください。
ぜひ大熊町に来てください!」


◆編集後記◆

先に大熊町に移住してきたものとして、未帆ちゃんが「大熊町に来てから元気が出てきた」と言ってくれたことがすごく嬉しかった。大好きな大熊町を、未帆ちゃんが興味を持ってくれて知ろうとしてくれていること、それもすごく嬉しい!
パティシエとしても大きな展望を持っている未帆ちゃん。そんな未帆ちゃんに惹かれて大熊町に興味を持ってくれる人がこれからどんどん増えるんだろうな、と想像してさらに嬉しくなってしまいました。

■インタビュアー / 佐藤亜紀さん

千葉県出身。大熊町在住。2014年に大熊町復興支援員として町民コミュニティ支援を担当した後、一般社団法人HAMADOORI13に転職し若者の起業支援事業「HAMADOORIフェニックスプロジェクト」を担当。
昨年、地域コーディネーターとしてHITOkumalab(ヒトクマラボ)の屋号で開業し活動中。